車の傷は自分で直せる?工場に相談したい状態とは

車の傷は、ごく浅い擦り傷であれば自分で目立たなくできることもあります。ただし、爪が引っかかるほど深い傷、へこみを伴う傷、サビが出ている傷は、自分で触る前に工場へ相談したほうが安全です。判断の分かれ目は「傷の深さ」と「場所」にあります。

「修理に出すとお金がかかるから、できれば自分で直したい」というお気持ちは、とてもよく分かります。実際に、ホームセンターやカー用品店に行くと、タッチペンやコンパウンド、補修スプレーなど、傷を直すための商品がたくさん並んでいます。手軽に試せそうに見えますが、使い方や傷の状態によっては、かえって目立ってしまうこともあります。

この記事では、自分で直せる傷と工場に相談したほうがよい傷の見分け方、自分で試すときの基本的な手順と注意点、そして失敗したときにどうなるのかを、順番にお話しします。やみくもに手を出す前に、ぜひ一度読んでみてください。

目次

結論:自分で試せるのは「ごく浅い傷」だけ

結論から言うと、自分で試してもよいのは、塗装の表面だけが軽く擦れたような、ごく浅い傷に限られます。目安は、傷を爪でなぞっても引っかからない程度です。このくらいの傷であれば、コンパウンドで軽く磨くと、目立たなくなることがあります。

反対に、爪が引っかかる傷や、塗装の下の色(白っぽい下地や金属の色)が見えている傷は、塗装の奥まで届いています。このような傷は、表面を磨くだけでは消えません。タッチペンで色を乗せる方法もありますが、段差や色の違いが出やすく、きれいに仕上げるのは難しいのが実情です。

もう一つ、判断の基準になるのが場所です。ボンネットやドアの真ん中など、目立つ場所の傷は、少しの仕上がりの差でも気になりやすいです。逆に、バンパーの下側やタイヤまわりなど、普段あまり目に入らない場所なら、多少の差は許容しやすいでしょう。傷の深さと場所の2つで考えると、判断しやすくなります。

傷の深さを確かめる方法

ドアミラーの小さな擦り傷の例

まず、傷の深さを確認してみましょう。最も簡単なのは、爪を使う方法です。洗車して汚れを落としたあと、傷に対して垂直に爪をそっと当て、なぞってみます。爪が引っかからなければ、浅い傷の可能性が高いです。引っかかる場合は、塗装の層を越えて深く届いていることが多いです。

次に、傷の色を見ます。白っぽく見える傷は、表面のクリア層だけが傷ついていることがあります。水で濡らすと一時的に消えて見えるなら、クリア層の浅い傷のサインです。一方で、車体とは違う色(白、グレー、銀色など)が見えている場合は、下地や金属まで達しています。

ただし、これらはあくまで目安です。見た目では浅く見えても、実際には深い傷だったり、逆に深く見えて浅かったりすることもあります。判断に迷うときは、傷の写真を撮って、工場に相談してみるのが確実です。

自分で試すときの基本的な手順

浅い傷であれば、自分で試してみる選択肢もあります。基本的な流れをお伝えしますが、あくまで一般的な方法であり、結果は傷の状態や使う道具によって変わる点はご了承ください。

最初に、傷のまわりを洗車して、汚れや砂を落とします。砂が残ったまま磨くと、新しい傷を作ってしまうため、ここは丁寧に行いたいところです。次に、水気をふき取り、傷のまわりにマスキングテープを貼って、磨く範囲を限定します。

それから、柔らかいスポンジや布に、細目のコンパウンドを少量つけて、傷に沿って優しく磨きます。力を入れすぎず、少し磨いては拭き取って状態を確認する、を繰り返します。傷が目立たなくなったら、そこで止めてください。磨きすぎると、クリア層が薄くなる原因になります。

最後に、磨いた部分の艶を整えるため、ワックスやコーティング剤を塗ります。以上が基本的な流れです。ただし、これで消えない傷は、無理に続けず、そこで手を止めて工場に相談してください。

自分で直すときのリスクと注意点

フェンダーの擦り傷の例

自分で直すときのいちばんのリスクは、状態を悪化させてしまうことです。具体的には、次のようなケースがあります。コンパウンドで強く磨きすぎて、クリア層を削ってしまう。タッチペンで色を乗せたら、周りの塗装との段差や色の違いが目立ってしまう。市販のスプレーを使ったら、ムラやたれが出てしまう、といった失敗です。

悪化してしまうと、あとから工場に頼んだときに、元の状態に戻す作業が加わることがあります。たとえば、盛り上がったタッチペンの塗料を削る、ムラになった塗装をやり直す、といった手間です。結果として、最初から工場に頼んだ場合よりも、費用や手間が増えることもあります。

また、色の問題もあります。市販のタッチペンの色は、カラーナンバーに合わせて作られていますが、年数が経った車の実際の色とは微妙に違うことがあります。小さな点状の傷なら目立ちにくいですが、線状の傷や広い範囲では、色の違いが分かりやすくなります。

こうしたリスクを考えると、「失敗したくない」「できるだけきれいに仕上げたい」という場合は、最初から工場に相談するのが安心です。自分で直すのは、あくまで「失敗しても受け入れられる範囲」にとどめるのが、後悔しないコツです。

工場に相談したほうがよい傷の見分け方

バンパーの擦り傷の例
ポイント

爪でなぞって引っかかる深さの傷。

塗装の下の色(白、グレー、金属色)が見えている傷。

へこみを伴う傷(触ると形が変わっている)。

塗装が浮いている、剥がれている、ひびが入っている傷。

サビが出ている、またはサビそうな傷。

傷が広い範囲に広がっている、または複数ある。

上のような傷は、自分で直すのが難しい、またはリスクの大きい傷です。特に、サビが出ている傷や、塗装が浮いている傷は、時間が経つほど悪化しやすいため、早めに相談するほうが安心です。

へこみを伴う傷も、自分で直すのは難しい部類です。タッチペンやコンパウンドでは、形の歪みは直せません。無理に力を加えて形を戻そうとすると、塗装が割れたり、パネルを傷めたりする可能性があります。形の歪みは、鈑金の作業で整える必要があります。

工場に頼むと、どんな流れで直るのか

工場に頼んだ場合は、まず傷の状態を詳しく確認します。そのうえで、必要な作業と金額をご説明し、ご納得いただいてから作業に入ります。小さな傷なら、範囲を限定した補修で済むこともあります。へこみがあれば鈑金の作業が加わり、広い範囲の傷や深い傷なら、下地から塗装まで通して行います。

当店の修理費用の目安は、小さな傷の補修が11,000円〜、へこみの補修が22,000円〜、鈑金・塗装修理が33,000円〜です。あくまで目安であり、傷の大きさや場所、車種、色によって実際の金額は変わります。自分で直す場合の材料費と比べて、「いくらなら工場に頼む価値があるか」を判断する材料にしてください。

見積もりの相談は無料です。写真を送っていただければ、おおまかな目安もお伝えできます。「自分で直せるのか、工場に頼むべきなのか分からない」という段階でも、遠慮なくご相談ください。状態を見たうえで、正直にアドバイスします。

自分で直す前に、揃えておくと安心な道具と環境

それでも自分で試してみたいという場合は、道具と環境を整えてから始めてください。必要になるのは、傷の周りを洗うためのカーシャンプーとやわらかいスポンジ、水気を拭き取るマイクロファイバークロス、細目のコンパウンド、磨くための柔らかいスポンジ、そして仕上げ用のワックスやコーティング剤です。タッチペンを使う場合は、車のカラーナンバーに合った色を選ぶことが大切で、ナンバーは車検証や、ドアの内側などに貼られたラベルで確認できます。

作業する環境にも気を配りましょう。直射日光の当たる場所や、ボディが熱くなっているときは、コンパウンドや塗料がすぐ乾いてしまい、ムラになりやすくなります。日陰で、ボディが冷えている状態で作業するのが基本です。風が強い日や、ホコリが舞う場所も避けましょう。また、雨の日や湿度の高い日は、乾きにくくなるため、作業には向きません。

もう一つ大切なのは、焦らないことです。一度に仕上げようとせず、少しずつ状態を確認しながら進めてください。うまくいかないと感じたら、そこで手を止める勇気も必要です。止めておけば、工場で直す際の選択肢も広く残ります。

写真で相談するときのコツ

車のドアの傷を撮影して確認するスタッフ

自分で直すかどうかを工場に相談するときは、写真があると話がスムーズです。傷の全体が分かる少し引いた写真と、傷に寄った写真の2枚を、明るい屋外で撮ってください。傷の位置が分かるように、パーツ全体が写った写真もあると助かります。

写真と一緒に、いつ頃ついた傷か、すでに自分で何かしたか(磨いた、タッチペンを使った、など)も教えてください。すでに手を加えている場合は、その内容によって、必要な作業が変わることがあります。隠さずに伝えていただいたほうが、正確な見積もりにつながります。

傷の種類ごとに見る、自分で直すかどうかの目安

傷といっても、できた原因や形によって性質が違います。ここでは代表的な傷の種類ごとに、自分で試せるかどうかの目安をまとめます。まず、洗車のときにできる細かな線状の傷、いわゆる洗車傷は、表面のクリア層だけが傷ついていることが多く、見た目の気になり方も光の当たり方によって変わります。軽度であれば、コンパウンドで目立たなくなる場合もあります。ただし、全体に広がっている場合は、ムラなく磨くのが難しいため、工場に相談したほうが仕上がりは揃いやすいです。

次に、ドアの縁やバンパーの角に付く擦り傷です。ガードレールや壁に擦ったときにできる傷で、相手の塗料が付着していることもあります。付着した塗料だけなら落とせることもありますが、その下の塗装まで傷んでいる場合が多く、タッチペンなどで補修しても境目が目立ちやすい部位です。角の部分は塗装が薄くなりやすく、サビも出やすいため、深さによっては早めの相談をおすすめします。

飛び石による小さな欠けは、点状の傷で、塗装が欠けて下地が見えていることが多いです。ごく小さければタッチペンで保護する方法もありますが、放置するとサビの原因になるため、数が多い場合は工場で見てもらうほうが安心です。そして、へこみと傷が一緒にあるケースは、前述のとおり、自分で形を直すのが難しい状態です。

自分で直した場合と工場に頼んだ場合の違い

費用の面では、自分で直すほうが、材料費だけで済むため安く感じられます。コンパウンドやタッチペンは、数百円から数千円ほどで手に入るものが多いです。ただ、うまく仕上がらなかったときの手間や、買い直しの費用、あとから工場に頼むことになった場合の追加の作業まで考えると、最終的な負担は違ってくるかもしれません。

仕上がりの面では、工場の修理は、下地づくりから色合わせ、塗装、仕上げまで、専用の道具と設備を使って行います。そのため、補修した部分が周りとなじみやすく、時間が経っても状態が安定しやすいのが特長です。一方、自分で直す場合は、道具や環境が限られるため、どうしても仕上がりに差が出ます。

どちらを選ぶかは、車の使い方や傷の状態、そして仕上がりへのこだわりによって変わります。とりあえず目立たなくなればよいのか、できるだけ元の状態に近づけたいのか。そのお気持ちに合わせて選んでいただくのがいちばんです。迷ったときは、工場に相談して、選択肢を整理してもらうのも一つの方法です。

傷を増やさないための日ごろの工夫

最後に、傷を増やさないための日ごろの工夫もお伝えします。駐車するときは、壁や隣の車との間隔にできるだけ余裕をもたせましょう。ドアを開けるときは、隣の車に当てないよう、ゆっくり開ける習慣をつけると安心です。また、洗車のときは、砂ぼこりが付いたままスポンジでこすらないよう、たっぷりの水で先に汚れを流してから洗うのがおすすめです。

こうした小さな心がけで、新しい傷を減らすことができます。それでも傷がついてしまったときは、慌てず、写真を撮って状態を確認することから始めてください。気になる傷があれば、いつでもご相談ください。

よくある質問

タッチペンで直した傷は、あとから工場で直せますか。

直せます。ただし、タッチペンの塗料を取り除く作業が加わる場合があります。状態によって判断が変わりますので、まずは見せていただくのが確実です。

コンパウンドで磨いたら、かえって目立ちました。どうすればよいですか。

磨きすぎてクリア層が薄くなっている可能性があります。これ以上磨かずに、一度ご相談ください。状態を確認したうえで、必要な作業をご案内します。

市販の補修スプレーは使えますか。

範囲が狭い場合に使われることもありますが、ムラや色の違いが出やすいため、仕上がりには注意が必要です。実際の対応は車の状態によって異なるため、使う前にご相談いただくと安心です。

小さな傷でも、工場に相談して大丈夫ですか。

もちろんです。小さな傷でも、状態を見て、自分で試してよいのか、工場で直したほうがよいのかをお伝えします。

傷がつきやすい場所を保護する方法はありますか。

バンパーの角や、ドアの縁などは、保護用のフィルムやモールを使う方法があります。車種や用途によって適した方法が変わりますので、ご希望があればお気軽にご相談ください。

傷を放っておくとどうなりますか。

深さによって異なりますが、塗装が剥がれている傷は、サビが出たり、傷の周りの塗装が浮いたりすることがあります。時間が経つほど範囲が広がりやすいため、気になる傷は早めに状態を確認するのがおすすめです。

まとめ

車の傷を自分で直せるかどうかは、傷の深さと場所で判断できます。爪が引っかからない浅い傷なら、自分で試す余地がありますが、深い傷やへこみを伴う傷、サビが出ている傷は、工場に相談するのが安心です。

ガレージグレイスでは、自分で直せるのか分からない傷のご相談も歓迎しています。状態を確認したうえで、無理に修理を勧めることはせず、必要な作業と費用の目安を正直にお伝えします。気になる傷は、お気軽にご相談ください。

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